
ドイツの起源はどこにあるんだろう。



この記事では、ドイツが生まれる土台となった出来事をご紹介。
今回見ていくのは、西ヨーロッパ世界の始まりともいえる民族大移動、ゲルマン人の大移動とそれに続くフランク王国について。
ここで生じた大移動によって、西洋の中世が形作られていくのであるが、その様相はとても複雑なもの。
だが、ヨーロッパ世界の文化を学ぶうえでは、おさえておきたいことばかり。それではさっそく、概要を見ていこう。1
民族大移動とは?


大規模な民族大移動はゲルマン人の大移動に限らず、世界史の中で度々起きてきたもの。
ゲルマン人の移動にフォーカスして見るならば、この大移動は4世紀から6世紀にかけてゲルマン人がヨーロッパ全域に拡大した動き。
これが生じた原因は定かではないが、遊牧騎馬民族フン人による圧迫が有力な説だ。
いずれにしても、ゲルマン人の大移動によって、西ヨーロッパ帝国は滅亡し、現在のドイツ・フランス・イタリアが生じていく。
民族移動の流れ
民族運動の始まり


まず最初に移動をし始めたのは、ゴート族。その中でも他の部族を吸収して形成された西ゴート族は、ローマ軍と衝突し、378年にアドリア・ノープルの戦いにて勝利する。
ゴート族に続いたヴァンダル族は古都カルタゴを占拠。ブルグンドはローマと同盟を組み、451年に起きたカタラウヌムの戦いでフン人を撃破する。
そしてついに、476年にゲルマン人の傭兵隊長オドアケルが西ローマ皇帝を廃位。民族移動はイタリアにまで及ぶ。これに対し、東ローマ皇帝の命を受けてテオドリック王が進軍。
テオドリック王が東ゴート王国を建設するも、西ローマ帝国の領土回復を目論むユスティニアヌス帝がこれを553年に征服する。ランゴバルド族もイタリアに侵入し、パヴィアを首都に建国。



民族の移動と建国の流れはとても複雑だね….
フランク族


ここまで見てきたゲルマン民族と比べ、フランク族は特別だった。他の民族が行ったような、大規模な移動を実施することもなかった。
ローマ帝国の境界近くの、ライン川右岸地域を出身地とするフランク族は、ローマの影響を強く受けており、帝国の指揮下にある軍隊に勤務することに。
フランクの王キルデリクスは、ローマ軍と同盟関係にあり、さらに482年ごろ彼の子クローヴィスが王位を継ぐ時点で、フランク王国はローマと密接に結びついていた。



ここからは、このフランク王国を中心にその動向を見ていこう。
フランク王国
クローヴィス


フランク王国を建国したメロヴィング朝のクローヴィスは、多くの戦いで勝利を収め、領土を拡大させるとともに、495年にカトリックの洗礼を受けることによって宗教的対立を回避。
他のゲルマン民族は異端のアリウス派を信仰していたが、広大かつローマ系の住民が住む地域を支配するためには、王国内の一体性を重視する必要があった。
またクローヴィスは、法慣習を文字化した『サリカ法典』の編纂を行なったが、他のゲルマン民族も建国後にそれぞれ法典を編纂していった。
フランク人とローマ人


多くのゲルマン諸国家では、ローマ系の住民が大半を占めた。そして、ゲルマン人とローマ人の通婚が認められていない一方で、フランク王国ではこれを禁ずる規定はなく、王国はここでも特殊な立ち位置にあった。
そして、ゲルマン国家の社会を形成したのは主に、自由人と隷属身分の人々。法的権利が認められた自由人は、裁判集会への参加義務や軍役の履行などの活動を担うことに。
さらに6世紀のメロヴィング朝では特権的身分の存在が明らかでないものの、7世紀にはのちにカロリング朝を築くことになるピピン家のような、貴族層の人物が出現する。



この貴族をノビリスと呼ぶよ!
カロリング朝


フランク王国が発展していく中で、これとともに勢力を拡大させていったのがローマ教会。コンスタンティノープル教会とならぶ二大教会であった。



ローマ教会の司祭は教皇と呼ばれるよ!
6世紀末に教皇グレゴリウス一世はゲルマン人の改宗を進め、キリスト教世界の拡大を図る。8世紀に入ると、イスラム教徒がガリアに侵入するようになる。
フランク王国の宮宰カール・マルテルは、732年にイスラム教徒らを撃退するが、これがあのトゥール・ポワティエ間の戦いだ。
この功績によって、教皇は751年にカールの子ピピン(751-768)の即位を認めることに。そうしてカロリング朝(751-987)が成立するのだった。
さいごに
今回は民族大移動からフランク王国の発展を経て、カロリング朝が成立するまでをざっくりと見てきた。だが「ドイツ」が生まれるのは、まだずっと後のこと。
高校生のころ、どの民族がどこを制圧して…と覚えていたのを思い出しながらこの記事を書いていたが、詳細な事柄についての記憶はもう怪しい。
カロリング朝については、あとで初代神聖ローマ皇帝のカール大帝を紹介する際にまた扱う予定だ。
- この記事の執筆にあたり、次の書籍を参照した。大学で歴史を学ぼうという方にはもちろんのこと、僕のように歴史の復習(かの「山川」よりも深く)をしたい方にオススメ。服部良久, 南川高志, 山辺規子編著: 大学で学ぶ西洋史[古代・中世], ミネルヴァ書房, 2006, 166-177頁. ↩︎



