【聖書】ルカの福音書〜救済史としてのイエスの生涯〜

今回は新約聖書に収録された福音書の一つ、ルカの福音書について。

先に紹介したマタイやマルコと同じように、キリストの生涯とその奇跡を物語るが、その特徴は彼の死後の弟子たちの様子がまとめられていること。

合計四つある福音書の中でも、歴史的な叙述に長けているらしく、「救済史」としての性質が強いのも特徴の一つ。

Contents

ルカの福音書とは?

著者「ルカ」の人物像はについては、多くの議論がなされてきており、パウロの同伴者であるルカがこれを著したというのが一説。

ただ、こちらも実際のところ確かではなく、ルカが一体何者かは謎に包まれている。ルカが医者であったという説もあるが、これも確証はない。

「救済史」という言葉を冒頭で使ったが、マルコの福音書をベースとしながらも、出来事を線的に順序正しく述べているのがポイント。

あらすじ

福音書はまず、洗礼者ヨハネの誕生からはじめ、イエスの誕生を物語る。イエスは成長し、のちにヨハネからバプテスマ(洗礼)を受ける。

彼は人々に教えながらまわり、病や悪霊に苦しむものたちをも癒していく。続いて彼は、漁師のシモンやヨハネらを弟子とし、12人を使徒とする。

各地を回って喩えを用いて教えつつ、人々を癒す奇跡を行なっていたイエスだが、祭司長らは彼を快く思わず、殺害する機会を狙っていた。

弟子の一人ユダの裏切りによって裁判にかけられ、十字架で命を引き取ったイエス。彼は復活後に再び弟子たちの前に姿を見せ、世界各地での宣教を命じてから天に引き上げられる。

Point

たとえ話

あらすじからも分かるとおり、マタイやマルコなどの他の福音書で記されたイエスの物語と、大枠は似たようなものである。

ただ、ルカではイエスによる「たとえ話」がより多く収録されており、よく知られた放蕩息子のエピソードはこのルカにしか見られない。

このたとえ話は、ある息子がまだ生きている父の遺産を受け取り、その金を使い果たした挙句にその父のもとに帰り、父はその子を快く迎えるというもの。

神と人間の関係についてイエスが弟子たちに話すとき、彼はあえてたとえ話を使う。

直接伝えるのとは異なり、解釈の余地が残ることで、聞き手はそのたとえが示すものを思い巡らすのであろう。

宣教へ

弟子たちの前に復活したイエスが現れたとき、彼らがまず感じたのは喜びではなく、恐れであった。それほどその復活は彼らに衝撃を与えた。

逆をいえば、イエスとの長い時間を過ごしていながら、その計画について理解できていなかったのであり、この時点になってようやくその御心を知る。

それからイエスは、聖書を悟らせるために彼らの心を開いて、こう言われた。「次のように書いてあります。『キリストは苦しみを受け、三日目に死人の中から蘇り、その名によって罪の赦しをえさせる悔い改めが、あらゆる国の人々に述べ伝えられる。エルサレムから開始して、あなた方はこれらのことの証人となります。」

新約聖書, 新改訳, ルカの福音書24: 45-47

そしてこの時、弟子たちは大きな転回を経験する。イエスは彼らに世界宣教を命じ、天に昇っていくが、その後の弟子たちは喜びに包まれながら神を褒め称える。

ここから、さらなる救済のエピソードが始まる。

さいごに

今回は前回のマルコの福音書に続いて、ルカのバージョンを見てきた。それぞれの著者によって、物語の様子が異なるのが面白い。

よく考えると、一冊の本に一人の生涯を色々な角度から四回も繰り返して書かれているなんて、珍しいのでは。

小さい頃から教会などで何度も読み、その都度まだまだ新しい発見や考えさせられることが多い福音書。次回は最後のヨハネの福音書だ。

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この記事を書いた人

ドイツ語講師を務めながら、ドイツ中世からバロックの文学研究中。主要な作家・作品についての記事を書いています。

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