【聖書】列王記 第一 〜ダビデの死とソロモンの罪〜

Simeon Solomon, King Solomon, 1872 or 1874

今回取り上げるのは、旧約聖書に収録された『列王記』。ここでは、二部構成となっている本書の第一部を見ていく。

老いて死を目前にするダビデの様子から、その息子ソロモンの即位と支配、さらに統一王国の分裂からバビロン捕囚によるユダ王国の滅亡までが描かれる。

次々と登場する王たちの中で最も有名なのはソロモンだが、彼以外の王や預言者たちの存在もイスラエルやユダ王国の衰退を見るうえで重要だ。

Contents

作品の概要

ダビデの死とソロモン

Pedro Berruguete, Salomon, c. 1500

ダビデが息を引き取ったのち、彼の子ソロモンが全イスラエルの王となる。そののち、統治に優れた彼の国家は繁栄を迎え、神のために神殿を築く。

その名声と富は全世界に轟くほどであったが、彼にはかつて神がイスラエル人に禁じた、数多くの異国人の女がいた。その数なんと、700人の王妃としての妻、さらに300人の側女。

これに対して神は怒り、彼に敵対する勢力を起こして、ソロモンの子孫から王位を取り除くことを語る。そしてソロモンの死は、結果的に統一王国の分裂に繋がることに。

分裂王国時代

ソロモンの死後、彼の子レハブアムが王となるも、彼は重税に苦しむイスラエルの民の声を聞かず、人々はエジプトに逃亡していたヤロブアムを王として北王国を築く。

こうしてイスラエルは南北に分裂し、レハブアムは結果としてユダ王国の初代王となる。その後、さまざまな王が南北それぞれにおいて次々と誕生し、その生涯を終えていく。

多くの王は、神を裏切って異教の神々を崇拝し、神の怒りを受けることとなる。人々が神に背く行為が、幾度も繰り返されていきつつも、これを神が耐え忍ぶ様子が印象的。

エリヤ

そのなかで、預言者エリヤとイスラエルの王アハブのエピソードは重要なもの。エリヤはアハブに対し、神のことばを告げ知らせます。

アハブは彼以前の王の誰よりも、神の前に悪を行ったとされ、バアル崇拝を行う人物であった。エリヤはこのバアルの預言者らとの対決を行う。

数百人ものバアルの預言者が、朝から真昼までその名を呼び続けても、何も応答がない一方で、エリヤの呼びかけに神は火をもって彼に応える。

Point

ソロモンの罪

列王記第一・第二に描かれる王の物語には、人間の弱さが色濃く表れている。それは王たちの神に対する裏切りの連続。

王国の分裂やバビロン捕囚といった出来事は、そういった王たちの行動に対する罰として描かれる。数々の罪の中で、とりわけソロモンのそれは特別。

聡明な王としての姿とは対照的に、神の命に背いて多くの外国人の女を愛した。誇張もあるだろうが、700人の王妃としての妻、そして300人の側女という数は凄まじい。

神殿を建築し、さらに多くの富を得た賢者ソロモンもまた、他の人間と同じように弱さを持つ。この点について、列王記を読むとよく考える。

王国の分裂

ジェームズ・ティソ、バビロン捕囚、c. 1900

ソロモンの死後、それまでの統一王国は北イスラエル王国と南ユダ王国に分裂。その情勢は不安定なものとなる。

そもそも、この分裂が生じた理由は先に紹介したソロモンの背神行為。偶像礼拝を許すなど、神の怒りを受けることになったのだ。

ここから、国の滅亡へと分裂した王国は歩むことになる。ソロモンの罪によって起きた神の介入が、かなりの時間差で生じる描写が面白い。

北イスラエルがアッシリアに、そして南ユダがバビロン捕囚によって滅びる経緯については、列王記IIにまとめられている。

さいごに

列王記の印象としては、次から次へと王が登場し、多くの王たちが偶像崇拝などの罪に手を染めていく中で、神に対して敬虔な王が時折登場するといったイメージ。

繰り返し神に背くイスラエルの王や民の様子は、もはや滑稽の域に達してしまっていた。

バアルといった異教の神の存在や、さらにその預言者らとのエリヤの対決は、間違いなく列王記のハイライトの一つ。

列王記の後半については、また機会を改めて書いていくことにしたい。

  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

ドイツ語講師を務めながら、ドイツ中世からバロックの文学研究中。主要な作家・作品についての記事を書いています。

Contents